近年では自然素材でできた住宅が注目を呼んでいます。そこには本物志向や健康志向、そして何よりも本来家が持つべき安らぎや快適さを家に求める人が増えてきた事の現れでしょう。とはいえ、自然素材とはどのようなもので、家の中でどのように使用されているのかをあまり詳しく知らない方が多いことも事実です。ここでは、自然素材が住宅の中で果たす役割について紹介していきます。
自然素材で使用されるもの
自然素材といえば、完璧に自然の木だけを使って建てられた家、あるいは古くから伝えられた伝統的な技術によって造られた家のイメージを持つ人が多いでしょう。自然素材の厳密な定義はないのですが、大まかにいうと合成化学物質や化学建材ではない天然素材のことを呼びます。
たとえば漆喰、珪藻土、天然リノリウム、無垢材、コルク材、セルロースファイバーなどです。内装などの仕上げの段階で用いる素材として無垢材や天然の素材を用いた塗り壁が代表的ですし、自然石や和紙などを用いることもあります。
自然素材を使用した例
自然素材を使う目的は、そこでの生活がより快適にかつ健康的にするために、天然の素材が本来持っている良い性質を、十分に生かせるように利用することです。
住宅建築においては、室内の壁の仕上げとして通常ならばビニールクロスを使用するところを、漆喰や聚楽を用いるケースがあります。また、天井や床には合板でなく、ナラやマツなどの無垢材を使用することがかなり多くあります。そのフローリング塗装も柿渋や植物性オイルを使用することもあるのです。
自然素材を用いるメリットとデメリット
自然素材を用いた建築を見ると、とても仕上がりがきれいで、何よりも見ていて落ち着く空間や、どこか懐かしい雰囲気の印象です。自然素材を使用したときにどのようないい点があるのか、また、逆にそれを使用するにあたり注意をしておかなければならない事は何かを知っておく必要があります。ここでは、代表的な自然素材ごとに、それを用いるメリットとデメリットについてまとめてみます。
漆喰
漆喰は、消石灰という、石灰石を原料とする物質でできた素材です。主に壁に塗る塗料として使われます。
メリットは、まず1つ目に「徐々に愛着のわくものとなる」です。漆喰は壁の仕上げで用いられます。塗られてから空気中の二酸化炭素を吸収しながら、ゆっくりと固まっていきます。時間が経つにつれ、味が出る素材です。次に、「調湿機能」です。漆喰は「呼吸をする素材」と呼ばれています。夏の湿度や冬の乾燥を和らげてくれますので、室内の快適さ、精神・健康面で良い効果を生みます。3つ目のメリットは「防火効果」です。漆喰は燃えない素材と知られています。
次にデメリットです。まず何といっても「工期が長くなり、費用も割高になる」点です。漆喰を塗る際には何段階にもわたって作業が行われるため、時間が必要ですし、その分費用が高くついてしまいます。そしてもう一つデメリットを挙げるとすれば、「ひび割れしやすい」ことでしょう。
珪藻土
珪藻とはプランクトンのことで、珪藻土はその化石を原料とした土です。壁用の塗料として使われます。
まずはメリットですが、1つ目は「空気をきれいにする」ことです。湿気を吸収や放出をする性質や、臭いを吸収するために脱臭・消臭の効果があるのです。そのため、ダニ・ウイルス・カビなどの発生を抑えられます。2つ目は「防火性」です。これも燃えない素材になります。3つ目は「防音性」です。珪藻土の内部には小さな穴が開いていて、音を吸収します。
次にデメリットは、乾燥すればひび割れが起きやすい事です。そのため、上から固化材を塗る必要があります。
天然リノリウム
天然リノリウムは亜麻仁油、コルク粉、松樹脂、石灰岩などを原料とする素材です。これらは主に床を造る時に使われています。
メリットは、「燃えにくい」「抗菌作用がある」「傷つきにくい」が挙げられます。床の上に家具類などを置くこともありますので、これらの性質は非常に有効です。他にも「静電気が発生しにくい」ため、掃除が非常に楽になります。
デメリットは施工後、特有の油の臭いがしてしまうことです。また、天然リノリウムはアルカリ性のものに弱いので、掃除の際には中性洗剤を使用しなければなりません。
無垢材
無垢材は原木をそのまま加工した天然の木材です。床や天井などに使われます。
メリットは、「時間が経つにつれて、色が変化し、味が出て馴染んでいく」ことです。「優しい肌触りの素材」で、心地よさを受けます。また「断熱・保温効果」があり、年間通じて快適に過ごせます。また自然の木材だけに「調湿効果」で、湿度もより快適に調整してくれるのです。
デメリットは乾燥すると変形・変色を起こすことで、天然の木を用いるので、これは仕方のない事です。
自然素材による効果
それでは、自然素材を用いることにより、家全般において期待できることをまとめてみます。
まず、天然の素材を用いるため、居住者は無害で健康的に生活を送れるでしょう。たとえば通常用いられる塩化ビニールシートの場合、もし燃えると有毒ガスを発生します。また、人によっては化学物質の影響で、シックハウス症候群・化学過敏症候群・アレルギー・喘息などの症状を起こすかもしれません。ですので、小さなこどもやペットを飼う家庭は自然素材の住宅が最適でしょう。
自然素材を用いると前述の通り、温度・湿度を調整するだけではなく、臭いや音を吸収し、外見上も味のある雰囲気に馴染んでいくため非常に快適で落ち着く空間となります。
また、自然素材を用いると、通常よりも費用が高くなってしまいますが、素材としては長持ちするので、長い目で見れば自然素材を使用した方が費用はかからずに済むこともあります。
まとめ
今や住宅は、それぞれの個性を主張するようになってきました。そこにはその家に住む人の家に対する希望や思いが込められてきたからではないでしょうか。落ち着く家、健康に暮らせる家、快適な環境の家、それらを求めた先に自然素材があります。
「株式会社山本住建」では、そのような自然素材を利用した、家族が笑顔で毎日を過ごせる家づくりをお手伝いします。どうぞお気軽にお問い合わせください。